大和が私だけに教えてくれた、秘密の場所。
「私ね、海に行ったことないんだよね。だから、今度あの海に行ってみようよ!」
「お前、泳げんの?」
「お、泳げないけど……それでも行きたいの!泳ぐんじゃなくて、海に触れてみたいだけ!」
「ハハッ!はいはい、わがままお姫様に付き合いますよ、と」
「ちょっと、今のは別にわがままじゃないでしょ!」
なんだか、すごく嬉しかった。
こんな素敵なところを教えてくれたこともそうだけど、大和のことをまた一つ知れたみたいで、それが一番嬉しく感じる。
「……あの祭りのとき、怖がらせて悪かった」
きれいな景色の写真をスマホで撮っていたとき、ふいに大和がつぶやくようにそう言った。
「え?」
「お前が誰かに捕まっている姿が見えて……抑えられなかった」
「……」
「美桜を怖がらせたかったわけじゃねぇ。ただ──」
「守ってくれただけ、でしょ?」



