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「うわー!すごいきれい!キラキラしてる!」
「あんまりはしゃいでると、落ちるぞお前」
「だ、大丈夫だし!でも、すごい!海だー!」
家から歩いて十五分。
大和が連れてきてくれた場所は、海が一望できる小高い丘の上だった。
高い場所だからか、風にほんのりと潮のにおいがついていた。
ザブンッと波打つ海の音が、心を落ち着かせてくれる。
大きな夕日が海の水面をキラキラと輝かせていて、ずっと見ていられるほど美しかった。
「家の近くにこんな場所があったなんて知らなかった!最高の場所だね!」
「ここは俺がまだガキだったころに見つけた隠れスポット、みたいなもんだな」
「隠れスポット!?」
「たまに、一人になりてぇときとか、落ち着かなくちゃいけねぇとき、一人でここに来てた」
真っ直ぐに海を見つめながら、大和は説明してくれた。
この丘にはあまり手入れされていないような草木が生い茂っていて、私と大和以外に誰もいない。
なんだか二人だけの空間みたいで、少しだけ緊張した。
「美桜がもし一人になりたいときがあれば、ここ使っていいぞ」
「大和の隠れスポットに、私も来ていいの?」
「だから教えたんだろ?好きなときに来ればいい」
「……ありがとう、大和」
「でも、他の奴らに教えんなよ?この場所までうるさくなったらたまんねぇ」
「うん、二人だけの秘密ね!」



