「──お前が日比野 陽太くん、じゃな?」
そんなある日、僕の前に現れたのが今の大安寺組のおじいちゃんだった。
僕はてっきり毎晩遅くまで伊織達と遊んでいることがバレて叱られると思っていた。
だけど、おじいちゃんは僕を新しい家族として迎え入れてくれたんだ。
「ずっと一人で寂しかっただろう。伊織と大和から事情は聞いてある」
「……え?」
「今日からお前さんをワシの家族に迎えよう。そして、伊織と大和はお前の兄弟であり、お兄さんであり、ライバルじゃ」
「僕が、伊織と大和の……お兄ちゃん?」
「あぁ。そしてワシが陽太くんのお父さんになってやろう」
「本当に?」
「あぁ、本当じゃ。そして、大安寺の家族になったお前に、たった一つの任務を与えよう」
僕達三人が、等しくおじいちゃんから与えられた〝たった一つの任務〟。
僕達は今でも、その任務を遂行している。
「任務って、何?伊織と大和も同じ任務が与えられているの?」
「そうだ。その任務とはな、ワシの孫を守ることじゃ」
「孫を、守る?」
「詳しいことは陽太くんの新しい家族や兄弟から聞きなさい」
「うん!」
「さぁ、家に帰ろう。今日はとても冷える」



