新しい僕のことを見抜かれた悔しさ。
すぐに作り笑顔だってバレたことの恥ずかしさ。
多分、いろんな感情があったと思う。
だけど、この二人だけは本当の僕を否定しなかった。
むしろ、もっと普通にしていたほうがいいって、そう言ってくれたから――。
「まだ話は終わってない!ぼ、僕を置いていくな!」
「はぁ!?なんなんだよこの一年」
「大和が悪いよ。泣いちゃってるじゃん」
「お、俺は泣かせてない!だから伊織、お前大安寺の奴らに変なこと言うなよ!小遣いナシはマジでやばいからな」
「……お金、貸さないからね」
それから僕は、ひたすら二人のことを追いかけ回すようになった。
伊織も大和もそれぞれ事情があったのか、僕と遅くまで一緒に遊んでくれるようになった。
家に帰るとひとりぼっちだったから、ずっと僕と一緒にいてくれることがすごく嬉しかったことを覚えている。
いつの間にかお手伝いさんは僕のお世話をしなくなった。
テーブルに手作りのご飯は並ばなくなって、その代わり菓子パンやお弁当が増えていった。
家に帰っても誰もいない毎日が嫌で、僕はその分だけ伊織と大和と一緒に過ごすようになっていた。



