僕は新しい日比野陽太に生まれ変わったんだ。
新しい僕は、みんなの人気者で、ムードメーカーで、誰とでも友達になれるかわいい男の子。
そうやってニコニコしているときに出会ったのが、伊織と大和だった。
運動場でクラスメイト達とドッジボールをしていたとき、遠くに飛んでいったボールを拾ってくれた二人。
「あ、あのそれ、僕のボールだから返してくれないかな!」
そう言った僕に、二人はとんでもないことを言ったんだ。
「なんだコイツ。ニコニコして気持ち悪りぃな」
「大和、言い方考えなよ。頑張って作り笑顔してるんだから」
「……!?」
この二人には、一瞬で僕のことを見抜かれた。
理由はわからない。
でも、出会って最初に言われたこの言葉があまりにもショックで、新しい僕が崩れ去っていくのがわかった。
「──ま、まま、待て!それってどういうことだよ!」
気づいたら、僕は咄嗟に大和と伊織に声をかけていた。
「……あぁ?」
「ほら、また敵を作った。大和、次誰かと喧嘩したらお小遣いナシだって大地さんに言われたの、もう忘れたの?」
「やべ、そうだった」
「謝りなよ」
「すまねぇ、悪気はなかった。でもお前さ、もう少し普通にしててもいんじゃね?なんか今のお前、無理してる感出てるぞ」
「きっと何か事情があるんだよ。深く突っ込んであげないほうがいい」
「そうだな。もう行こうぜ」



