結婚なんて、ゼッタイお断り!








「そんなの、陽太じゃないじゃん」

「……え?」


私がそう言葉をもらした途端、陽太に動揺の色が垣間見えた。


「じゃあ私が、もっとかっこいい陽太になってって言ったら、陽太は今の自分を変えるの?」

「……」

「それじゃあただの私の〝好き〟に合わせただけ陽太だよ。本当の陽太はどうなっちゃうの?」

「なんで、そんなこと……っ」

「私は本当の陽太が見てみたいし、ありのままの陽太でいてほしって思うよ?」

「──うるさい!」





私の声を遮るように、陽太は大きな声を放った。

その姿はまるで、何かに怯えているようにも見えた。





「本当の僕なんて見せたところで、誰も好きになってくれないくせに!」

「どういう、こと?」

「幼稚園にいたころね、僕、いじめられてたんだよ」

「陽太が、いじめられてた?そんなこと……」

「そのころの僕は背も今より小さくて、ぽっちゃりしてて……お母さんが好むような服をきてた」






それは、私の知らない陽太の過去。

陽太は目に涙を浮かべながら、ゆっくりと私に過去の話をしてくれた。