「そうだ、陽太!陽太はどこに……」
慌てて体を起こそうとした瞬間だった。
グッと腕を引かれて、目の前の風景がぐるりと一回転した。
私の体はベッドへ思いきりダイブして、それが誰かに押し倒されたのだと理解したときにはもう、身動きが取れないように仰向けになって、両手を押さえ込まれていた。
そして、見慣れた天井からひょこっと顔のぞかせてきたのは……陽太だった。
「おはよ、美桜ちゃん。僕はここだよ?」
「よ、陽太!?アンタ熱は……って、いきなり何すんのよ!離れなさい!」
「だってぇ、美桜ちゃん僕のこと看病してくれるって言ったくせに、スヤスヤ眠っちゃってるんだもん」
「うっ。そ、それはごめん……」
陽太は私に覆い被さるような体制で、そのまま私に少しずつ顔を近づける。
大きくてクリッとした目に、太陽に透けると茶色にも見える髪の毛がかかっている。
「だから、わざわざ風邪引いてる僕が起こしてあげたんだよ?」
「で、でもこんな起こしかたはないじゃん!腕痛いから早く退いて!」
「それはダメだよぉ。だってこれはお仕置きなんだもん」
「お、お仕置き!?」



