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それから私は、陽太がリクエストした卵とのりが入ったおかゆを作って、食べさせてあげた。
「……うん。もう熱は下がってるね」
伊織達は普段、この大安寺の家の二階でそれぞれ暮らしている。
ご飯は毎日みんなで一緒に食べるけれど、そのあとは各自好きなことをして過ごしている。
大和と伊織は夜のジョギングに出かけて、毎日十キロ以上走りに行く。
そのほかにも、二人は家の中でも筋トレや運動を欠かさない。
私は広間の大きなテレビを占領しながら、のんびりと宿題を終わらせていくのが日課だ。
陽太はそのとなりで、いつもお菓子を食べながらスマホを見たり漫画を読んだり、とにかく私にベッタリとくっ付いている。
たまに私の宿題の邪魔をしてくるから、よくケンカもするんだけど……。
「(でも、なぜか陽太には本気で怒れないんだよなぁ)」
陽太のあの笑顔に、いつも癒されている。
学校であれだけ人気者なのも、今なら納得できてしまう。
すれ違う生徒達にいつも声をかけられて、クラスや学年が違う人とも平気でおしゃべりしている陽太と見て、本当に羨ましいと思う。
クラスではムードーメーカーで、陽太のおかげで毎日学校が楽しいと言っている生徒もたくさんいる。
元気いっぱいで、笑顔がまぶしくて、誰とでも仲良くなれる陽太。
「(私も、見習わなくちゃな……)」



