結婚なんて、ゼッタイお断り!








陽太の首元に手が触れたとき、異常に熱かった。

もうすぐ本格的な夏がやってくるとはいえ、これはさすがに普通じゃない。





「陽太は小さいときからすぐ熱を出すから、いつもの風邪かもしれないね」

「陽太って、体弱いの?」

「うん。昔は外の公園で走って遊んだりすると、次の日すぐ熱が出て寝込むことが多かったんだよ」





伊織はそう話しながら、私の部屋のカーテンを開ける。

シャッと開かれた窓から、眩しい朝日が差し込んだ。





「伊織達三人は、小さいときから知り合いだったの?」

「そうだね。俺が大安寺の家に来たときから、仲良くしろと言われて出会ったのが大和と陽太」

「そうなんだ!じゃあ三人は幼なじみだね」

「……ううん。俺達はライバルだよ」





伊織の予想外の返答に、私は頭をかしげた。


「ライバルって……なんの?」

「ははっ。それは美桜ちゃんには秘密」

「ちょっと、なんでよ!」

「それよりほら、美桜ちゃんは学校行く準備しないと、だよね」