部屋の扉をちゃんとノックして、入ってもいいか聞いてくれるのは伊織だけ。
陽太も大和も、私の部屋に勝手に入って、勝手にくつろいでいくんだから。
でも、ここ最近、大和とあまり顔を合わせていない。
あのお祭りのときから、お互いがお互いを避けているみたいになっている。
「(そろそろ、ちゃんと大和と話をしなくちゃ……だよね)」
「おはよう、美桜ちゃん」
「おはよう伊織……って、伊織ってば、もう制服に着替えてるの!?早くない!?」
「美桜ちゃん達の朝ごはんも作ってあるよ。よかったら食べてね」
「……うそでしょ?」
伊織が完璧な男子だってことは分かっていた。
陽太と違って遅刻はしたことないと言っていたし、宿題も毎日ちゃんと提出するらしい。
制服を着崩すこともしないで、ちゃんと学園の校則を守っている。
「(それなのに、伊織ってイケメンなんだよなぁ)」



