「陽太、もう他の場所に移動しよう?ね?」
「えー、なんで?僕達たこ焼き食べてるだけなのに、ムダに絡んできてんのはこのオニーサン達のほうでしょ?だから相手してやってるだけだし!」
「だけどこのままだとケンカになっちゃうでしょ?だから……」
「でも売られたケンカは買わないと、だよ?僕、そうやって大安寺のおじいちゃんに教わったし」
「買わなくていいの!ほら、行くよ!」
『え〜!』と駄々をこねる陽太の手を強引に引いて、この場を去ろうと立ち上がった。
だけど、高校生達三人組はそれすらも許してはくれなかった。
「おいおい、逃げんなよ〜」
「きゃっ!」
思いきり腕をつかまれて、陽太から引き離される。
握られた手の痛みがはげしくて、思わずギュッと目をつむった。
「……二回目だよ、お前達」
「よう、た?」
それは一瞬の出来事だった。
陽太は目にも止まらぬ速さで、私の腕をつかんでいる高校生の一人を投げ飛ばした。



