そのとき、今まで聞いたこともないような陽太の低い声が響いた。
「……あ?」
「今、なんつった?」
「聞こえなかったの?その手、退けろって言ったんだよ」
自分よりも年上の相手に、陽太は容赦なくするどい言葉を投げ続ける。
いくら『陽太、ストップ!』と止めてみても、陽太の口は止まることを知らない。
「お前、中学生だろ?」
「俺ら高校生にそんな口利くなんて、生意気だねぇ」
「敬語って言葉、知ってる?」
陽太がどんどん怒りのオーラを出し続けているのに、それでも煽るように笑う高校生達。
……あぁ、もう!なんでそっとしておいてくれないかな!
外ではなるべつ目立たないように、おとなしくしておかなくちゃいけないのに!
「ハハッ!どうして僕がお前らみたいなダサい男に敬語なんか使わなくちゃいけないんだよ」
「よ、陽太……!」
だけど、陽太はアツアツのたこ焼きを食べながら、鼻で笑うようにそう言い返す。
ま、まずい。
このままじゃケンカになりかねないよ!



