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夜市祭と呼ばれる、地元のお祭り。
なんでも、家から少し歩いた先にある商店街ができたのがこの日だそうで、毎年設立記念日としてお祭りが行われているそうだ。
たくさんの人達が集まっていて、みんな楽しそうにしている。
私もすっごく楽しかった!
完全に負けちゃったけど、大和と射的勝負をしたり、陽太とわたあめ作りをしてみたり!
伊織はあまりワイワイするタイプじゃないけど、二人でボールすくいをした!
時間が経つのはあっという間で、気づけば空はすっかり暗くなっていた。
だけど、提灯の灯りや屋台の灯りが眩しくて、夜なのに全然夜を感じない。
「(やばい!お祭りって楽しすぎる!)」
家の近くにこんな楽しい場所があるなんて知らなかった!
心の中で、『また来年も絶対来たい!最高だ!』……って、思っていたんだけど。
「よ、よよ、陽太……これってもしかして」
「うん、迷子みたいだね!」
「楽しそうに言んじゃない!どうすんの!?伊織と大和とはぐれちゃったじゃない!」
陽太がどうしてもりんご飴を食べたいっていうから一緒に並んであげていたら、いつの間にか伊織と大和と逸れてしまった。
私のスマホに二人の連絡先は登録していないし、陽太はスマホを家に忘れてきたらしい。
あたりはたくさんの人達で溢れかえっていて、二人を探すのは無理だ。



