周りの人達からは恐れられて、近づかないように距離を取られる。

大安寺という苗字を聞くだけで、怖がられてしまう。




「悪女って呼ばれはじめたの、いつからだっけ……」



最初は友達を作ろうと頑張った。

積極的に自分から話しかけて、仲良くなろうと努力した。

私は怖くないよって、常にニコニコして笑顔を作っていた。





でも、みんなは困った顔を浮かべるだけ。

どんなに私から歩み寄っても、『お母さんが美桜ちゃんとは遊んじゃダメって言うから』といって離れていってしまう。

当時、気になっていた男子からも『俺に話しかけてくんなよな!』と突き放されてしまった。





だから、もう諦めたんだ。

普通に友達を作ることも、普通の女の子になることも。

ニッコリと作り笑いをすることもやめた。





そうしたらいつしか私は、陰で『目つきの悪い悪女』と呼ばれるようになった。


「そんな私が、結婚なんてできるわけないのに」