伊織の突然の提案に、なんだか乗り気の二人。
「お前は何がやりたかったんだ?」
「そ、そんなのいきなり言われたって、すぐに思いつかないよ」
「えー!?楽しいことって言ったらぁ?海でしょ!山登りでしょ?それからお祭りに花火に水族館!あとバーベキューも!」
私とは違って、陽太はいくつもの案を出していく。
本当に楽しそうに話してくるから、なんだか私まで楽しくなってしまう。
「お祭り、かぁ……」
小さいころ、お父さんとお母さんと三人で地元のお祭りに連れて行ってもらったことを思い出した。
浴衣を着て、屋台のお店の食べ物をたくさん買ってもらった。
わたあめに、いちご飴に、やきそばとチョコバナナ。
当時の私はとても小さかったけど、一生忘れたくない幸せな思い出。



