「……二人とも、近づきすぎ。美桜ちゃんが嫌がってるの分かんない?」
私のことをからかってきたり、抱きついてきたりする二人を引き離してくれるのが、伊織の役目。
伊織は騒がしい大和と陽太と、少し距離を置いているように見える。
伊織はいつだって少し離れたところから私のことを見守ってくれている。
小さいころからずっと、私を守るように言われてきたって言っていた伊織。
歳は私と一つしか変わらないのに、ずっとそんなことを言われてきたのかな。
「(私の護衛だなんて、本当はやりたくないはず……)」
もっと他にやりたいことや、頑張りたいことがあったかもしれない。
そう思うと、少しだけ伊織に申し訳なく思えた。
「俺達は大地さんの命令でこの家に住むことになったけど、美桜ちゃんはいつもどおり、普段やっていることをしてくれればいいからね?」
「つーか、美桜は普段何して過ごしてんだよ」
「僕も美桜ちゃんのこと気になるー!」
「えっと、普段は料理したり、掃除したり、あ、一人映画鑑賞とか、たまに絵も描くし……」
「お前それ、全部一人でできることじゃねぇか」
「わっ、悪い!?別に一人で休みを楽しんだっていいじゃん!」



