必死に大和から本を奪い取ろうとしても、うまく逃げられるばかり。
余裕の表情で見てくるアイツに、余計に怒りが膨らんでいく。
「……大和、美桜ちゃんが嫌がってんでしょ」
そんな大和から、スッと本を奪いとってくれた伊織。
それを丁寧に私に返してくれた。
「ごめんね、騒がしくて」
「ほ、本当にね!すっごく迷惑なんだけど!」
……あぁ、またありがとうって言いそびれちゃった。
ツンとした言い方で返してしまう、この癖。
直さなくちゃって思うのに、いつもこんなふうに他人を突き放すような言い方をしてしまう。
だから陰でヒソヒソ〝悪女〟だなんて言われるんだ……。
「と、とにかく!三人とも早く私の部屋から出て行ってよね!」
「……なぁ、お前さ。もしかして俺らがいるからって緊張してるわけ?」
部屋の扉を開けて、三人を外へ追い出そうとすると、グッと距離を縮めてきたのは大和だった。
「は、はぁ!?アンタ達に緊張なんてするわけないじゃない!」
「だよなぁ?じゃあ俺らが今日からこの家に住んでも、なんの問題もねぇよなぁ?」
「なっ!そ、それは……」
「俺はいつか、お前の口から〝大和くんのことが好き〟って言わせてみせる」
「はぁ!?そんなこと言わないし!ゼッタイ言わない!」
「じゃあ勝負だな。……覚悟しとけな?」



