フンッ!っと顔を背けて、わざと足音をドシドシと鳴らしながら自分の部屋へ戻っていく。
家にいた大安寺の家族達は、『お嬢、そんなふうに怒ってばかりいると顔にシワができてしまうぜ?』だなんて、余計な一言をお見舞いしてくれた。
「あー、もう!せっかくのゴールデンウィークが台無しだし!」
自分の部屋の扉を勢いよく開けると、伊織達はまだ部屋の中にいた。
大和と陽太にいたっては、本棚や机の中を興味津々でのぞいている。
「ちょっと、何やってんのよ!」
「お前、なんだよこれ!『友達の作り方についての本』って……っ、ブッ!アッハハハハ!」
大和が手に持っていた一冊の本。
それは、私が小学生のときにひっそりと買った、友達の作り方を教えてくれる本だった。
本に書かれてある通りにいろんなことを試してみたけど、結局友達はできないまま。
いつしかそんな本を読むこともやめて、誰にも見られないように本棚の奥に隠していたのに!
「ぎゃああああ!か、かか、返してよ大和!最低!」
「美桜ちゃん、美桜ちゃん!僕がお友達になってあげるよ!」
「陽太、そんなことより大和からあれ奪って!」



