あの三人のことは、中学へ入学する前におじいちゃんから聞いていた。
伊織は私と同じように、小さいときにお父さんとお母さんを交通事故で亡くしている。
頼れる親戚もいなくて、伊織が一人でいたところを、たまたま通りかかったおじいちゃんが引き取ったそうだ。
大和のお父さんは、大安寺組の偉い人で、おじいちゃんの右腕としていろんなところへ出張に行っている。
ここへ帰って来られるのは数年に一度くらいのもので、毎日とっても忙しいみたいだ。
そして、陽太の家は……すごく複雑だ。
陽太のお父さんとお母さんはどちらも仕事を優先して、彼を一人日本に残して海外に行ってしまったそうだ。
そしてもう、何年も両親には会っていないと言っていた。
「でも、だからって……」
「みんないろんな事情があって、この大安寺の家の家族になったんじゃ」
「そうかも、しれないけど」
「美桜、少しずつでいい。もっと他人に心を開いてみなさい」
「……っ」
「あいつら三人は信頼できる。ワシが認めた男達だぞ?」
おじいちゃんはいつの間にか新聞を閉じていて、私を見て真剣にそう言った。
確かに、伊織や大和達は、ちゃんと私を見てくれる。
変なウワサに惑わされないで、私を守るって言ってくれた。
「で、でもそれとこれとは別!一緒に住むのはゼッタイ反対なんだからね!」
「アッハッハッ!ワシの孫は気が強いのぉ!」



