大和はズカズカとこちらへやってきて、いきなり私の手を掴んだ。
「ちょっと来い、話がある」
迫力のある大和が近くに来ると、なんだか緊張してしまう。
だけど、負けてらんない!と私も背筋を伸ばして大和を見上げる。
「な、何よいきなり!私は別に話なんてないけど!」
「学園内で騒ぐな」
「アンタが突然私を連れて行こうとするからでしょ!?」
ここは二階の廊下。
すれ違う生徒達に不審な目で見られてしまっている。
「(私はなるべく目立ちたくないんだっての!)」
「い、言いたいことがあるならこの場で言ってよね!」
「今すぐ俺と結婚するって言え」
「はぁ!?」
「あと他に何人婚約者候補がいるのか知らねぇけど、黙って俺を選べ。損はさせねぇ」
な、なんなのこの強引男子!
私を見るなりいきなり結婚するって言え、だなんて正気!?
驚きや戸惑いが、一気に押し寄せてくる。
「手、離してよ」
「俺を選ぶなら、いーぜ?」
「選ばないから!」
「あっそ。じゃあ一生このまんまだな」
「ちょっと、いい加減にして!先生呼ぶよ!?」
「呼べるもんなら呼んでみろ。その前にお前の口塞ぐけど」
「……っ!」



