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「──おい、起きろよ美桜」

「美桜ちゃん、今日は四人で動物園に行くんでしょ?このままだと遅刻しちゃうけど」

「起きてよー!美桜ちゃん起きてー!僕、早く動物園に行きたいんだけど!僕パンダ触るって決めてるんだから!」

「陽太、お前バカか。触ったら捕まんぞ」

「捕まらないように触るんじゃん。大和ってバカなの?」

「テメェ」





今日も騒がしい声とともに強制的に起こされる。

……あぁ、もう、本当に毎日毎日うるさいんだから。




「……って、なんでまた三人とも勝手に私の部屋に入ってんのよ!」





いつものようにカーテンを開ける伊織、ベッドの横に置いてある椅子に座って偉そうにしている大和。

そして私にギュッと抱きついてくる陽太。




「あのさ、美桜。俺達、別にお前のこと狙うの諦めたわけじゃねぇからな?」

「……へ?」

「お前が誰のことも好きにならねぇっていうなら、俺がお前のことを振り向かせるまでの話だから」

「……大和。何言ってんの、美桜ちゃんは俺と結婚するんだけど」

「違うよ!僕だよ!僕のことを好きになってもらうんだから!」








……なんてことだ。

「──だからまぁ、これからも覚悟しとけよ。美桜」





どうやら、私の苦労はまだまだ続きがあるらしい。

【完】