結婚なんて、ゼッタイお断り!






相当走ってきたのか、苦しそうな顔をしながら、それでも伊織の真剣な眼差しが嘘じゃないと教えてくれる。



「当たり前だろうが。この最強の俺が、親父の命令だけでお前みたいなチビを全力で守るわけねぇだろ」

「チ、チビって言うな……」

「俺の人生は俺のモンだ。誰の指図も命令も受け付けねぇ。俺がお前と結婚すると決めたんだ」


大和の力強いその言葉も、ちゃんと信用できる。





「僕もね?そりゃ最初は絶対美桜ちゃんと結婚して若頭になって偉い人になってやるんだーって思ってたよ!?」

「……ふふ。正直だね、陽太」

「でも、今は美桜ちゃんのことが大好き!もっともっと美桜ちゃんと一緒にいろんな楽しいことがしたいんだ!」



いつもの軽いノリの陽太じゃなくて、本気の様子でそう訴えかけてくれた。





「……私ね。わがままだって思われるかもしれないけど、もっと三人で一緒にいたい」

今日、笹原さん達と一緒に行ったおしゃれなカフェ。

どのケーキも本当に美味しかったから、伊織達を連れて行ってあげたいなと思ったんだ。




他にも、この四人でたくさんの楽しい思い出を作りたいと思った。

毎日変わらず、学校と家の往復だっただけの私。

でも、伊織達が現れて、私のつまらなかった毎日が変わっていった。