「あーあ。もうタイムオーバーか」
「……稲瀬、ごめんね。私、やっぱり伊織達とちゃんと話してくる」
「はいはい、好きにしなよ。俺も別に本気じゃなかったしね。ちょっと君をからかってやろうとしただけだし?」
「……でも、こんな暗い中で稲瀬が隣にいてくれて、私は心強かったよ。ありがとう」
「……クソッ」
「ありがとう、稲瀬」
「……もういいから早く行きなよ。あいつらが家の前にくると迷惑だし」
稲瀬はぶっきらぼうにそう言って、ピシャリと門を開けて家の中に入っていってしまった。
今日は星がすごくきれいだった。
いつもは自分の部屋の窓から見上げるだけだったから、こんなにきれいだなんて知らなかった。
「お前っ、ほんっと逃げ足だけは速いのな!?」
「美桜ちゃん、俺達の話を聞いて……っ」
「僕達、美桜ちゃんのことが……本当に好きなんだよぉ!」
三人とも激しく息を切らしながら、私の元へやって来た。
苦しそうにしゃがむ大和と伊織、陽太は地面に寝転がってしまっている。
「あのね、美桜ちゃん。俺達、確かに最初は大地さんの命令で君の護衛をしていた。美桜ちゃんに選ばれた人が次期若頭になれる、と言われたのも事実だよ」
「……うん」
「でもね?俺達はみんな、命令されたから……なんて思ってないんだよ」



