今、そうやってアンタ達が心配そうな目で私のことを見ているのも、演技なの?
自分を選んでもらって、この大安寺組の若頭になりたから……全部全部、ふり、なの?
「お前、聞いてんの?なんで連絡しなかったんだよ」
「そうだよ美桜ちゃん!もう少しで探しに行くところだったんだからね!」
「……ごめん、忘れてた」
「はぁ!?」
……やめてよ。
これ以上、私に何も言わないでよ。
「忘れてた、で済む問題じゃねぇだろ」
「……大和、言い過ぎだよ」
「だいたい、あのとき学校で伊織が美桜をカフェなんかに行かせたりしたからこんなことに……」
……あぁ、うるさいな。
お願いだから、今は一人にしてよ──。
「もう放っておいてよ!どうせ私のことなんてみんな、どうでもいいと思ってるくせに!」
「……あ?」
「美桜ちゃん、今、なんて?」
「私、知ってるんだから……っ。私と結婚した人は、大安寺組の次期若頭になる権利をもらえるんでしょ?だから三人とも……私と結婚したがるんでしょ?」



