気づけば、机の上に並べられていたケーキも飲み物もからっぽになっていた。
あれから相当時間が過ぎて、笹原さん達とたくさんおしゃべりした。
だけど、伊織や大和達と離ればなれになるかもしれないということが、ずっと頭の中を駆け巡っていて、話の内容が何一つ思い出せない。
「じゃあまた来週ね、大安寺さん!」
「うん、今日は誘ってくれてありがとう!」
「また一緒に行こうね〜!」
みんなと解散してお店の外へ出ると、すっかり夕暮れの時間になっていた。
一人になった私は、ゆっくりと家を目指す。
今日は楽しかった。
ケーキもたくさんの種類を食べて、すごくおいしかった。
恋バナもして、笹原さん達の話もたくさん聞けた。
これまで遠かった私と彼女達の距離が、少し縮まったような気がして嬉しかった。
……だけど、どうしても離れてはくれない、伊織達のこと。
「私、もっと三人と一緒にいたいよ……」
誰か一人を選んでしまうと、あとの二人とはもう関われなくなるなんて……そんなの悲しすぎるよ。
「(何かいい方法、ないのかな)」
そんなことを考えながら、家から離れた公園まで歩いてきていた。
そういえば、昔はよくこの公園で遊んでいた。
一緒に遊んでくれる友達はいなかったから、滑り台やブランコに乗って一人で遊んでいたっけ。
でも、今はもう一人じゃない。
私のことを怖がらずに声をかけてくれる人もいる。
そして何より、伊織達が一緒にいてくれる。
「(今さら離れ離れになんて、なりたくないよ!)」
誰もいない公園に、一人ポツリと立って強くそう思った。
「──こんなところで会うなんて、奇遇だね」



