……え?仲良く、できない?
その言葉に、頭の中が真っ白になった。
フォークですくって食べたレモンケーキの味が、一気にしなくなった。
「あー、確かに。だって他の二人とは気まずくなっちゃうもんねぇ」
「この前読んだ少女漫画にも、そんな展開があった気がする!」
「でもあんなイケメン達に囲まれて、大安寺さん羨ましいー!」
次々に飛び交うみんなの言葉が、頭の中に入ってこなくなった。
伊織、大和、陽太の中から一人を選んだとしたら、あとの二人とはもう一緒にいられなくなる……それって、本当に?
……そうだ。だったら誰も選ばなければいいんだ。
誰か一人を選ばなければ、みんなとずっと一緒にいられるってことでしょ?
「(でも、おじいちゃんはきっと、そんな甘いことは許してくれない)」
普段のおじいちゃんは私に優しいけど、とても厳しい一面もある。
特に、私の身の安全のことに関しては、誰よりも厳しくなるのがおじいちゃんだ。
……でも、そんなの嫌だよ。
せっかく伊織達と仲良くなれたと思ったのに。
もっと四人で楽しい思い出をたくさん作りたって思いはじめたばかりなのに。
バラバラになんて、なりたくないよ。



