私には、他の人には言えないことがたくさんある。
大安寺の家のことは、絶対に外に漏らしてはいけないとおじいちゃんからきつく言われている。
それだけじゃなくて、家族のことも、伊織達のことも、言えないことがたくさんある。
特に、今一緒に住んでいるだなんてことは、口が裂けたって言えないよ!
「えっとね、伊織達とは……お、幼なじみなの!」
「えー!小さいときから一緒にいたってこと!?」
「大安寺さん、羨ましいー!」
「ねぇ、大安寺さんはあの三人の中で、誰が好き……とかないの!?」
「好き!?そ、そんなことは特には……」
──ない、よね?
私、伊織のことも、大和のことも、陽太のことも、別に好きじゃないよね?
だって、結婚なんてゼッタイしないって言ったし。
今でも、結婚なんてしたくないって思ってるし。
そんなことを頭の中でぐるぐると考えていたとき、笹原さんが言った。
「でもさ?もしも大安寺さんが三人のうちの一人を好きになって選ぶとするじゃん?そしたら、他の二人とはもう仲良くできなくない?」



