「ご、ごめんね大安寺さん!泣かないで!?」
「うちら、大安寺さんにどう声をかけていいか分からなくて……」
「でも、大安寺さん全然怖くないし!ソフトボール誰より頑張ってたし!」
「私ね、実はお母さんから大安寺さんとかあんまり関わるなって言われてたんだけど……でももうお母さんの言うこと聞くのやめた!」
「そうだ!あたし達ね、これから優勝祝いにカフェに行こうと思ってるんだけど、大安寺さんも一緒に行かない?」
これって本当に現実?
私、自分の都合のいい夢を見ているわけじゃ……ないよね?
なんだか体がふわふわと浮いているみたい。
「私も、言ってもいいの?」
「もちろんだよ!今日の優勝は大安寺さんが頑張ってくれたからだし!」
今日ほど嬉しいと思った日はなかった。
クラスメイト達が、私の名前を怖がらずに呼んでくれる。
放課後に一緒にカフェに誘ってくれている。
喉から手が出るほど欲していた、こんな会話。
「うん、行きたい!」
まだ、友達って呼ぶには早いかもしれない。
だけど、それでも私にしては大きな一歩を踏み出せたような気がする。
「迎えに来たよ、美桜ちゃん」
「おい、帰るぞ美桜」



