その時から君は、俺にとって唯一無二の女の子になった。
どんなことがあっても守ってあげる。
……最近の美桜ちゃんが、よく喋るようになってくれて嬉しいと言ったのはね?
あのときの幼い美桜ちゃんも、同じくらいおしゃべりさんだったから。
だんだんと高学年になっていくに連れて、君は笑顔を失っていった。
友達ができないことに悩んで、いつしか頑張ることをやめていった。
あれだけつらそうに苦しんでいる君に、何もしてあげられないことが悔しくてたまらなかった。
『美桜の話し相手になってやりたい?……ダメじゃ。言っただろう、甘やかせてはならん、と』
美桜ちゃんは俺がつらかったとき、頭を撫でてくれたのに。
泣いている俺に、ぬくもりをくれたのに。
「(それなのに、俺は何もできないなんて……っ)」
そして、その挙げ句に、俺は肝心なときに美桜ちゃんのことを守ってあげることができなかったんだ。



