「あの、浅羽くん? どうしたの?」
「消えるなんて、ゆるさないよ」
「え?」
「そんなの、俺はぜったいに認めない」
神様も、すぐそばで見ているはずだ。
だったら、俺の願いをきいてよ。神様なんだろ?
もしこのまま音無さんが消えてしまったら……俺は神様を、生涯恨み続けることになってしまうと思うんだ。
「でもわたしね、元の世界に戻るくらいなら、このまま消えちゃいたいって思うんだ」
「は? ……何でだよ」
「だって、元の世界には、浅羽くんがいないから」
その言葉で、俺はハッとしてしまった。
――そうか、本来音無さんがいた時空での俺は、すでに死んでしまっているのか。



