「音無さんは、未来からきたの?」
「……なぁんだ、バレちゃったんだ」
「うん。音無さんがどうして過去に戻ってきたのかも、ぜんぶ知ってる」
直球で尋ねてみれば、音無さんは困った顔で笑いながらうなずいた。
「うん、そうだよ」
「音無さんは、どうなるわけ?」
「どう……なるんだろう? 元の、浅羽くんと出会う前の世界に、戻ることになるのか……それともこのまま、消えちゃうのかな」
音無さんは透けている手を空にかざしながら、さみしそうに笑った。
俺はその手を握りしめる。
透けているから、つかむことはできなかったけど……それでも、音無さんの手のある辺りをぎゅっと握りしめた。



