「っ、ここは……」
俺は神社の前で気を失い、倒れていたみたいだ。
相変わらず、近くに人の気配はない。
オレンジ色に染まっていた空には紫色と紺色が混ざり合い、少しずつ夜が近づいてきていることが分かる。――その時だった。
「……あれ、浅羽くん?」
小さいけれど、たしかに聞こえた声に、俺は息をのんだ。
鳥居の方を見れば、俺が会いたいと願っていた人が、昨日と変わらない姿でそこに立っていて。
「っ、音無、さん……?」
きょとんとした顔をしている音無さんは昨日と同じ浴衣姿のままで、だけどよく見れば、その身体は薄っすらと透けている。



