視界にとびこんできたのは、見覚えのあるクラスメイトたちの姿と――二枚並んで飾られている、俺と母さんの、遺影だった。
「浅羽くんのお母さん、病院の階段で足を滑らせて、打ち所が悪かったんだって」
「浅羽くん、お母さんが亡くなったショックでボーッとしてて、赤信号を渡っちゃったんじゃないかって言われてるみたいだよね」
女子生徒が、コソコソと耳打ちし合っている。
そしてクラスメイトたちは、一人ひとりが手にした花を、棺の中に入れていく。
――あぁ、そうか。本当だったら、俺は死んでいたのか。
ここで、全てがつながった気がした。
だから音無さんは、知っていたんだ。
母さんが階段で足をすべらせて亡くなることも、それがきっかけで、俺が命を落とすことも。
だから早く病院に行くようにと勧めてきたんだ。



