昨日はあんなに賑わっていた神社はひと気もなく、オレンジ色に染まった境内は、どこか寂しい印象を受ける。
賽銭を入れて、二回手を叩く。
そして、願った。
(もし、本当に神様がいるなら……音無さんに会わせてください)
神様なんて信じていなかったけど、音無さんの日記を読んでいたら、本当に存在するんじゃないかって。神様が、音無さんをどこかへ連れて行ってしまったんじゃないかって。
普段なら行きつかないような、そんな馬鹿げたことを考えてしまった。
だから、願った。
もう、だれでもいい。何でもいいから……音無さんに会わせてほしい。
――その時だった。



