「浅羽くん、こんにちは」
「……どうも」
俺に彼女が行方不明になったことを知らせてくれた、高崎先輩だった。
七夕祭りの翌日である今日は、町内の学校はどこも休みとなっている。
だけど高崎先輩は制服姿だ。
そう言えば、昨日神社で会った時も制服だった気がする。
部活か委員会か……何かの用事で、学校に行っていたのかもしれない。
「君に、これをわたしておこうと思って」
「何ですか、それ」
「音無さんのものだよ。彼女が忘れていったんだ」
高崎先輩が持っているそれは、手帳のようだ。
「俺は預かっていただけで、中は見ていないから」
「……どうして、これを俺に?」
「どうして……そうだね。君に渡すべきものだと思ったから、かな」
あまり答えになっていない答えを口にした高崎先輩は、俺に手帳を手渡してくる。
受け取ったそれは、シンプルな水色の表紙で、青色のゴムバンドが付いている。



