七月八日。昨日に続いて気持ちのいい青空が広がっている。
だけど反対に、俺の心はどんよりと曇っている。いや、曇りどころか、大嵐といってもいい。
焦りや不安、自分自身に対しての苛立ち、そんな感情がぐるぐる回っていて、ひどく気分が悪い。
(ここにもいない、か)
母さんを自宅に送り届けた俺は、音無さんが最後に目撃された神社を始め、学校周辺や近くの公園、隣町の方まで足を運んでいた。
音無さんが行きそうな場所をくまなくさがしているつもりだけど、音無さんは見つからない。
警察に捜索願も出されているらしいけど、まだ何の手がかりも見つかっていないそうだ。
こめかみを伝って流れてくる汗を手の甲で拭っていれば、背後からだれかが近づいてくる気配を感じる。



