「もしもし、××病院の者ですが。浅羽咲子(あさばさきこ)さんのご家族の方ですか?」 咲子は、俺の母さんの名前だ。 「はい、そうですけど……」 「あぁ、良かった。あなた、息子さんかしら?」 「はい」 「実はお母さん、過労で倒れたのよ」 「過労で……?」 「えぇ。大事には至らなかったけど、まだ意識が戻らないので、今日はこのまま入院することになりました」 そして最後に看護師から伝えられたのは、すぐに病院にきてほしいとのことだった。 ちょうど通話を終えたタイミングで、息を切らした音無さんがやってきた。