「……だいじょうぶ?」
わたしが呼び止める声も無視して行ってしまった浅羽くんの後ろ姿をぼうぜんと見つめていれば、高崎先輩にそっと肩をたたかれた。
「追いかけなくていいの?」
わたしは、力なく首を横に振りながら笑った。
「……はい、だいじょうぶです。浅羽くんには後で会いに行きますから」
「彼がどこに行くのか知ってるの?」
「……はい。まぁ、何となくですけど」
「そっか。でも彼と合流するまで音無さんは一人なんだよね? 危ないし、それまでいっしょにいようか?」
「ありがとうございます。でも……だいじょうぶです。わたしは今日、やらなくちゃいけないことがあってここにきたので」
これからのことを思うと、少しだけ怖くもあるけど。
きっと――未来を知っているわたしにしか、できないことだから。



