「おぉ、今年もいっぱい屋台が出てるね。何食べよっかなぁ」
長い石段を上って神社の境内に足を踏み入れれば、屋台がずらりと並んでいる。
はしゃぐみやびの後を追いかけながら、視線を何となく巡らせていれば――桃色の浴衣を着ている女の子が、音無さんの後ろ姿と重なって見えた。
無意識のうちに目で追っていたけど、振り向いたその顔は、全くの別人で。
「――ちょっと蒼空、だいじょうぶ?」
みやびに腕を引かれて、そういえば今はみやびと祭りに来ていたのだと思い出した。
「……あぁ、だいじょうぶだから」
「それ、絶対にだいじょうぶじゃないやつだから! ……もしかして、青羽ちゃんのことさがしてるの?」
「……別に、そんなんじゃないけど」
みやびは「ふーん」と言いながら、疑うような目で俺の顔をジッと見つめてくる。



