「……俺、先に帰るから」 これ以上見ていたくなくて、先に帰ることにした。 背を向けて数歩足を進めたところで、音無さんに引き止められてしまう。 「あ、待って浅羽くん! わたしも今日は当番の仕事がなくてこのまま帰れるんだ! よければいっしょに帰らない?」 「……まぁ、いいけど」 足を止めて振り返れば、笑顔の音無さんと、そんな音無さんを優しい顔で見つめる高崎先輩の顔が見えて。 ――また、胸の中のモヤモヤが広がったような気がした。