「どうでもいいけど、早くしてくれない?」
「っ、オマエ、あんま調子にのってんじゃねーぞ……!」
その言葉を合図に、一番手前にいた男が殴りかかってきた。
それをひょいっと避ければ、二人目の男も拳を振りかざしてくる。
その手首をつかんで引っ張れば、男は体勢を崩して地面にたおれこむ。
「っ、てめぇ……!」
「オマエら、中坊だからって手を抜く必要はねーからな! 本気で痛い目みせてやるぞ!」
男たちは三人とも目をつり上げて苛立ちをあらわにしている。
――正直、白昼堂々と暴力をふるって相手を痛めつけるなんてことはしたくない。でも、避け続けていただけじゃこのケンカは終わらないだろう。
この状況を切り抜けるためにはどうするのが最善かと考えていれば、この場から逃がしたはずの音無さんが戻ってくる姿が見えた。



