「あ、そうだ! そういえばこの前、俺といっしょに話してて楽しいのかって、浅羽くん言ったよね?」
「……そうだっけ?」
「うん! あの時、鉢植えが落ちてくる前に!」
――そう言われてみれば、そんなことを言ったような気もする。
「その答えだけどね……そんなの、すっっごく楽しいに決まってるよ!」
音無さんは触り心地の良さそうな頬っぺたをほんのり赤くして、力説するような声で言う。
――っていうか、俺でさえ聞いたことを忘れかけていた質問をわざわざ覚えていて、その答えまで教えてくれるとは思わなかった。
何ていうか、本当に……音無さんは変だ。変わってる。
だけど最近は、そんな音無さんの言葉に、行動一つひとつに、自分の中の何かが満たされていくような感覚がある。
「そっか。俺も……」
「楽しいと思ってる」って伝えたくて、口を開きかけた。その時。



