「この前、言ったでしょ? わたしね、浅羽くんを幸せにしたいの」
「……」
「だから、浅羽くんが怪我をしなくてよかったって、すっごく安心した」
「だから……それで音無さんが怪我しちゃ意味ないじゃん」
「え、どうして?」
「どうしてって……音無さんが怪我したら嫌だから。それじゃあ俺は幸せになれない」
「うーん……分かった。それじゃあ次からは、わたしも怪我をしないように頑張る! でもね、何があっても、浅羽くんのことは絶対にわたしが守ってみせるから!」
「……音無さん、男前すぎない?」
ムンッと効果音がつきそうなポーズで握りこぶしを掲げてみせた音無さんの姿を見てしまえば、何だか力が抜けてしまう。
もしまた同じようなことがあったら、その言葉通り、音無さんは俺を庇おうとするんだろう。想像がつく。それなら俺は……。



