――上から落ちてきたのは、植木鉢だった。
これが直撃していたら、大怪我をしていたかもしれない。
それが分かった瞬間、背筋にゾッと冷たいものが走った。
「すまねぇ、だいじょうぶか!?」
顔を上げれば、ベランダからおじいさんらしき人がこちらを見下ろしているのが見える。
きっと、誤って手を滑らせてしまったんだろう。
とりあえず、無事だということを知らせるために手を振って返していれば、俺の上に覆いかぶさっていた音無さんが、勢いよく顔を上げた。
「っ、浅羽くん、だいじょうぶ!? どこか怪我してない……!?」
そして、ものすごい勢いで詰め寄ってくる。
その顔は今にも泣きだしてしまいそうで、俺は柄にもなくあわててしまった。
無事であることを伝えようと、急いで口を開く。
「俺はだいじょうぶだよ」
「っ、本当に!?」
「うん、本当に」
「……そっか。よかったぁ」
俺の返答を聞いた音無さんは、へにゃりと眉を下げて笑った。
俺の上からどいたかと思えば、そのまま地面に座りこんでしまう。



