「ねぇ、音無さん」
「何?」
「音無さんはさ、俺といっしょにいてだいじょうぶなの?」
「え? だいじょうぶって何が?」
「いや……俺は素行が悪いから。音無さんは俺と話してて、周りの友達に何か言われたりとか、嫌な思いとかしてないのかって気になって。……そもそもさ、音無さんは俺といっしょに話してて、楽しいの?」
俺の質問が予想外だったのか、音無さんはぱちぱちと瞬きをして固まってしまった。
「わたしは……」
音無さんが口を開いた――次の瞬間。
「っ、あぶねぇ!」
上の方から切羽詰まったような荒い声が聞こえてくる。
同じタイミングで、俺の身体はやわらかなぬくもりに包まれた。
その直後、“ガッシャーンッッ!”と、何かが割れるような大きな音が響く。



