「その、特に用があるってわけじゃないんだけど……あ、そうだ! もしよかったら、今日いっしょに帰ってもいいかな?」
「いっしょに? 別にかまわないけど……」
今日は特に用事があるわけでもないし、それはかまわない。だけど、いっしょに帰ろうと誘われるのなんて、これが初めてだ。
やっぱり今日は、何かあるんだろうか。
「よかった。それじゃあ、わたしが行くまで教室で待っててね! ぜったいだよ! 約束だからね!」
――うん。やっぱり、何かありそうだ。
だけど聞いても教えてはくれなさそうなので、とりあえずここは「分かった」とうなずいておくことにする。
そして音無さんと別れてから時間はあっという間に進み、放課後になった。
言われた通りに教室で待っていれば、後ろの方の扉から顔を出した音無さんは、俺の姿を見てうれしそうに声をかけてくる。



