「音無さんって、ほんっとに変」 「え、またですか? わたし、そんなに変って自覚はないんですけど……じゃなくて、ないんだけど」 「自覚がないのは、もっと質が悪い」 「たちがわるい?」 俺の言っている意味が理解できないないらしく、音無さんはきょとんとしている。 そのおでこを指でつんっと突いてみれば、何故か音無さんは、またほっぺたを赤くする。……うん、やっぱり分かんないな。 ふと空を見上げれば、白い線を描いていた飛行機雲は、いつの間にか青にとけて消えていた。