「……っていうかさ、音無さんって、どうして敬語で話すわけ?」
「え?」
「友達にもそんな話し方してるってわけじゃないんだろ?」
「それは、そうです、けど……」
「じゃあ、俺にも普通に話してよ。同級生なんだし」
音無さんは迷っているみたいだけど、俺がジッと見つめれば、観念したのかコクリとうなずいてくれた。
「わ、分かりました! ……じゃなくて、分かった!」
「ん、それでよし」
敬語をなくした音無さんは、落ち着きなくソワソワとしているし、その頬も薄っすらと色づいている。
――だから、どうしてさっきの言葉では照れないのに、敬語をなくしたことには恥ずかしがっているのか。
音無さんの照れポイントは、よく分からない。



