「……あの、浅羽くん? どうして顔をそむけるんですか? もしかしてわたし、何か変なこと言っちゃいました?」
「……何でもないから。今こっち見ないで」
気配で何となく、音無さんがおろおろとしていることが分かる。
だけど、そっちを向くことはできそうにない。
――今の俺、絶対に顔が真っ赤になってるはずだから。
(はぁ、ほんっとに……音無さんって変わってる)
っていうか、今の不意打ちはずるいだろ。
いつもはどこか照れくさそうに、はにかんだ顔で思いを伝えてくるのに。
このタイミングで、そんな顔で思いを伝えてくるのは、やっぱりずるい。ムカつく。



