「授業、戻らなくてもいいの?」
「……あの、浅羽くんのお邪魔じゃなければ……少しだけ、お話したいです。となりに座ってもいいですか?」
「別に、俺はかまわないけど……サボっちゃってだいじょうぶなわけ?」
「少しくらい平気です!」
俺がうなずけば、音無さんはうれしそうに俺のとなりに腰を下ろした。
音無さんは見るからに真面目そうだし、絶対にサボったりしないタイプだと思っていたから、何だか意外だ。
「浅羽くんのクラスは、今は何の時間なんですか?」
「英語」
「英語! わたしも今日の最後の授業が英語なんです……嫌だなぁ……でも浅羽くんは英語も得意ですし、次のテストもだいじょうぶそうですね!」
音無さんは、きっと不愛想でしかない俺の返しにも、にこにこと楽しそうに笑っている。



